経理パートナーズコラム
「不幸な逆説」西岡(R7.7.9)

私は元々、それ程、沢山、本を読む人間ではないのですが、
先日、かなり昔に購入した
「思考の整理学」(外山滋比古)
という本が出てきて、何気なく、読み始めたところ、
「不幸な逆説」
という項目に興味を持ちました。
この本の著者曰く、
「昔の塾や道場は入門しても、すぐに教えるようなことはしない。むしろ教えるのを拒む。
~なぜ教えてくれないのか、当然、不満をいだく。これがじつは学習意欲を高める役をする。
~弟子の方では教えてもらう事はあきらめて、なんとか師匠のもてるものを盗みとろうと考える。
ここが昔の教育のねらいである。
~師匠の教えようとしないものを奪い取ろうと心掛けた門人は、いつのまにか自分で新しい知識、情報を習得する力をもつようになっている。
~それに比べると、いまの学校は、教える側が積極的でありすぎる。親切でありすぎる。
(教える側が)熱心になれななるほど~学習者の依存心を育て、受身にする」
との事。
そもそもこの本が書かれたのが1986年で、そこから既に40年位、経っている訳ですが、
それこそ、少し前までは特に職人の世界、ビジネスの世界でも、何でもかんでも全てを教えるような事はしないという風潮があったような気がします。
時には、それが今で言う所のパワハラになるような事もあったかと思います。
ただ最近の時代の流れと若者の人手不足から、
「新しく入る人には懇切丁寧に教えましょう。また相談しやすい環境を作りましょう。」
という方向性になってきていますし、
私自身も何か人に教える際は、出来る限り、丁寧に教えようと思っていました。
その一方で、ネット等で、いわゆるホワイト企業に就職した新入社員の中には、上司・先輩が懇切丁寧に仕事を教えてくれるのに、ここで短期間で成長できないと言って、せっかく入った会社を辞めてしまう
現象があるという記事を見て、これはどういう事なのだろうと思っていましたが、この文章を読んで、
少し納得したところがありました。
それこそベンチャー企業に入ると、仕事を丁寧に教えてくれる人はほぼいません。
仕事に期限ががある中で、ものすごいスピード感で仕事を習得しなくてなならず、それはそれで、
かなりきついです。
ただそうやって、もがいた後に、ある程度、習得出来たら、それこそ
「自分はこの短い期間でかなり成長できた」
というものすごい充実感を味わえるのではないかと思います。
しかし皆が皆、そういった環境に対応できる訳ではなく、脱落してしまう人たちも一定数います。
むしろ、そういった環境に対応できる人の方が少ないかも知れません。
となると、今の時代はどういう教え方が良いのか?
「優しく教えながらも、その人が自分で新しい知識、情報を習得する力が身に付くように仕向けていく。それもライフワークバランスを保ちながら」
という事になるのでしょうか。
なかなか難しい所ではありますが、今後は少しこの事を頭に入れて、仕事をしていこうと思います。












